個人の住宅が、バラの咲く庭を特集する雑誌や観光情報誌に紹介されることなどめったにない。ところが福岡市の西にある糸島に、テレビや雑誌で紹介され、観光客が毎日のように訪れるおしゃれな一画がある。イングリッシュガーデン風の庭に洋風の木造家屋が映える。芥屋(けや)の海にも近く、周辺にはクラフト工房やカフェが数多く点在する。

 ここの主は、「若いころから、週末になるとスキューバダイビングを楽しみに糸島に通っていました」。と語る寺田和憲さん。14年前に福岡市内から移住し、”ハーフビルド”で家を建てた。基礎や屋根、水回りなどは専門会社に依頼するものの、内装や造作は自分で手掛けた。庭造りは全て自作。花木を植え、白いペンキを塗った木塀にばらバラを這わせた。先に土地を購入していたBOB仲間の永尾浩さんご夫妻も隣に同じように家を建て、庭を造った。おのずと周りも同じような造りになり、まるでイギリスかと見間違うような美しい一角ができあがった。


バラのゲートをくぐると、そこはイングリッシュガーデン

もともと糸島は、古代のロマンに満ちた所。いわゆる”魏志倭人伝”に登場する”伊都(いと)国”と推定されている地だ。それが近年、福岡市内から車でたった30分と近いこともあり、若者に大人気のスポットとなった。夏ともなると、白砂の浜が美しく透明度が高い。海での水遊びや、玄界灘に沈む夕陽を眺めに観光客がどっと訪れる。自然農法の糸島野菜や冬の牡蠣小屋、種類も豊富なベーカリーと海山の幸も豊富だ。


芥屋漁港と幣(にぎ)の浜 

「最近は、全国から観光客が訪れるようになり驚いています。時には一緒にお茶を飲んで過ごすこともあります」。寺田さんの糸島ライフは素敵だ。