会員だより:我が故郷、信州松代 (京葉 多々良 正子)

 松代は史跡、古刹が多く点在する真田十万石松代藩の城下町です。
近くの川中島古戦場や善光寺が有名なため、あまり目立ちませんでしたが、2016年NHK大河ドラマ「真田丸」放映後は「六文銭の里松代」として街歩きする人も多くなりました。
 そんな故郷で今回ご紹介するのは「松代大本営跡」です。太平洋戦争終盤、1944年7月のサイパン陥落後、本土決戦が現実味を帯びてきた頃、陸軍が中心となり松代へ皇居、大本営、政府重要機関などを移転することが閣議で了承されました。象山、舞鶴山、皆神山を削岩し、地下壕に移転するという壮大な計画でした。
 同年11月、工事開始。発破で崩した石屑をトロッコで運び出す人海戦術で、日本人および動員された朝鮮人労務者、学徒動員、勤労奉仕隊など300万人、総工費2億円が投入されました。終戦までの9カ月間の突貫工事で、地下壕は10㎞余り、全工程の7
5%が完成しました。松代が選ばれた理由は諸説ありますが、10t爆弾にも耐え得る硬い岩盤で掘削に適していたこと、海岸線から遠く山に囲まれ工事に適した善光寺平野があったことではないかと思います。
 現在、跡地の舞鶴山地下壕には日本最大規模の気象庁松代地震観測所が、象山地下壕には信州大学宇宙線観測施設があります。こちらの地下壕の一部は一般公開され、格子状に掘り抜かれた500m程を見学することができます。
 これも、松代の歴史の一部です。

松代城址