自転車とワインとナポレオン②
東京23 栗林 泰夫
ボルドー、ブルゴーニュに続く3回目のフランス自転車旅行の行き先に、地中海に浮かぶコルシカ島を選んだ。コロナが蔓延する直前の2019年秋、島西岸の首府アジャクシオに到着。小さな町の中に1769年ナポレオンが生まれた石造りの家が今も残っている。ここを起点に9日間一周550㎞のサイクリングツアーが始まった。
コルシカ島の面積は四国のほぼ半分、大部分は急峻な山地で標高2000m級の山々が続く。南端の町ボニファシオからは、わずか⒒㎞しか離れていないサルディニア島(イタリア領)がよく見えた。
ぶどう畑は点在するが、盆地や傾斜地を利用し個々のワイナリーも小規模でかわいい。「海の中のアルプス」と形容される山道を電動のマウンテンバイクで疾走する。家畜の豚や牛はほぼ放し飼いでよく出会い、放牧のヤギの群れにしばしばペダルを止めた。小さな港町ではムール貝やクラムチャウダーと白ワインを楽しみ、至福の時を満喫した。
こんな自然豊かな島で生まれ、生涯戦いに明け暮れたナポレオン。小説や映画の印象はこの島にはない。そんなことを考えながら、パリオルリー行きの飛行機に乗り、コルシカ島を後にした。

コルシカ島にて
