◎5月の互選句
5月の題は「昔話」
風呂敷が足りぬ社長の立志伝
手塚 実
葬式が昔話で盛り上がり
横山 信之
昔話語る友みな去りゆきぬ
荒井 春雄
GHQ・MP・GI死語となり
丸木 正登
創業の昔を語る古暖簾
長谷川政榮
百歳の昔話にある歴史
竹田 圭子
(手塚 記)
◎4月の互選句
4月の題は「波」
舵取りを妻に任せて波静か
手塚 実
つらかろう津波に向う防波堤
竹田 圭子
老故か波風立たぬ夫婦仲
丸木 正登
株高値波に乗れずにまた逃がす
横山 信之
顧みて波瀾万丈なき人生
荒井 春雄
大波小波過ぎて味出る老夫婦
長谷川政榮
政界に改革の波夢なのか
岡田 秀雄
(手塚 記)
◎3月の互選句
3月の題は「夢」
亡き父と夢の中でも酌み交わし
手塚 実
すぎ去った青春あれは夢だった
竹田 圭子
夢で逢う亡き妻何時も年取らず
丸木 正登
実現は出来なかったけど熱い夢
長谷川政榮
夢かなう夢でいいから見てみたい
岡田 秀雄
トイレ近し夢妨げるいい場面
横山 信之
老いたいま夢は毎晩幼き日
荒井 春雄
(手塚 記)
◎2月の互選句
2月の題は「記念」
アルバムが我が家の歴史記念館
手塚 実
どんな日も記念日にするお赤飯
竹田 圭子
改めて不戦を誓う終戦日
丸木 正登
昭和なら祝ってくれた古希卒寿
岡田 秀雄
記念日を重ねて太くなる根っこ
長谷川政榮
新住民市制記念日無関心
横山 信之
あと一年あと一年と百までも
荒井 春雄
(手塚 記)
◎12月・1月の互選句
12月の題は「頭」(〇印)
1月の題は「平和」(◇印)
〇断捨離に頭悩ます大掃除
◇戦場へ届けよ平和なクリスマス
丸木 正登
〇買収に惜しい頭脳を乗っ取られ
◇被爆国非核宣言なぜ出来ぬ
岡田 秀雄
〇頭垂れ人も稲穂も熟れてくる
さえずりに今朝も起こされている平和
長谷川政榮
失言へ形ばかりの頭下げ
日向ぼっこ猫も一緒に大あくび
手塚 実
リセットはもう無理脳に老い加速
熱狂の野外ライブへ行く平和
竹田 圭子
頭の毛冬に向かって刈らぬまま
焼夷弾降る中逃げて今がある
荒井 春雄
年金もため息頭痛物価高
小事なら女房立てれば平和維持
横山 信之
(手塚 記)
◎11月の互選句
11月の題「雨」
雨降って地固まらず土石流
手塚 実
雨乞いが過ぎたか猛暑歴史的
岡田 秀雄
雨の日もものともしないアーケード
竹田 圭子
雨となり祝辞を変えた披露宴
長谷川政榮
一雨で芝生占領雑草群
丸木 正登
線状雨国土強化が追いつけぬ
横山 信之
夏なれば雷雨もあれと思えども
荒井 春雄
(手塚 記)
◎10月の互選句
10月の題「風」
絵はがきになかった風に肌でふれ
手塚 実
聞こえ来る風の便りは訃報だけ
岡田 秀雄
風鈴が昼寝したらと鳴いている
横山 信之
新風がマンネリを打破心地良い
竹田 圭子
台本の無い晩年の風まかせ
長谷川政榮
千の風に守られながら一人旅
丸木 正登
気になるは物を大事にせぬ風潮
荒井 春雄
(手塚 記)
◎9月の互選句
9月の題「老」
遠い日を昨日の如く語り出し
手塚 実
長老が病歴自慢にこにこと
横山 信之
自己主張老いの一徹譲らない
岡田 秀雄
老い加減つい比較するクラス会
竹田 圭子
歳ごとに病名増えて友減りて
長谷川政榮
もたもたと家事に追われる老の日々
丸木 正登
老いたとて負けぬ根性歩幅かな
荒井 春雄
(手塚 記)
◎7月・8月の互選句
7月の題「歌」(〇印)
8月の題「時」(◇印)
〇美しい日本がそこにある唱歌
◇被災地の時計あの日のあの時間
手塚 実
〇音痴だがいつかカラオケ盛り上り
◇テレビ消し心豊かに時過ごす
長谷川政榮
〇歌詞忘れ
曲だけラ・ラ・ラと口ずさむ
◇その時はすべての運を決める時
荒井 春雄
〇自分史に艶歌のような過去もあり
◇梅雨時の晴れ間に雑事フル活動
横山 信之
〇ナツメロは昭和生まれの心歌
◇持ち歌は時代遅れのものばかり
丸木 正登
〇同じでも歌い手次第で大違い
◇喜怒哀楽越えて無慈悲に時刻み
岡田 秀雄
〇もち歌でボケない脳を売っている
◇開店と閉店時だけ列がのび
竹田 圭子
(手塚 記)
◎6月の互選句
6月の題「汗」
収穫の汗に秋風心地良い
手塚 実
手に汗を握る母校の決勝戦
丸木 正登
遊園地着ぐるみバイト汗まみれ
横山 信之
冷や汗をかいて何度か切り抜けた
岡田 秀雄
プライドが悔し涙を汗に変え
竹田 圭子
汗までが見える故郷の田の茂り
長谷川政榮
亀に似て遅い歩みで汗をかく
荒井 春雄
(手塚 記)
◎5月の互選句
5月の題「顔」
力にも薬にもなる母の笑み
手塚 実
終焉に残す笑顔を撮り直す
長谷川政榮
厚化粧素顔になったら別人だ
岡田 秀雄
ひと目ぼれ後の人生悔いはなし
丸木 正登
走り寄る顔が伝える良い知らせ
竹田 圭子
おかめ顔鬼の心で介護する
横山 信之
マスク掛け行きかう女性みな美人
荒井 春雄
(手塚 記)
◎4月の互選句
4月の題「雪」
銀世界地上の汚れ隠しきる
竹田 圭子
雪像に世相を刻む雪まつり
手塚 実
豪雪地つらら落下で春を知る
横山 信之
雪遊びはしゃぐ南の観光客
岡田 秀雄
雪溶けてぬかるんだ道今は無い
荒井 春雄
電気代うなぎ昇りの雪見酒
丸木 正登
雪国育ち嬉しく寝れぬ雪の夜
長谷川政榮
(手塚 記)
◎3月の互選句
3月の題「昔」
つまずいた昔は酒で今段差
手塚 実
ふる里に昔が残る野山有り
横山 信之
円高の昔を今に戻したい
丸木 正登
昔事穿ほじくり出して不仲の元
岡田 秀雄
昨日はむかし
直ぐに迎える明日がある
長谷川政榮
昔から頑固一徹変らない
竹田 圭子
ひと昔十年なれば八と八
荒井 春雄
(手塚 記)
◎1月・2月の互選句
1月の題「思いやり」(〇印)
2月の題「くすり」 (◇印)
〇妻の歩に合わせて次のバスにする
◇百薬の長薬局に置いてない
手塚 実
〇騙されたふりをするのも思いやり
◇薬量で調整せよと云うけれど
長谷川正榮
〇捨て犬に餌やるうちに情うつり
◇アオムシは無農薬選りしかと食べ
竹田 圭子
〇円満は我慢比べと思いやり
◇残り火にくべる妙薬趣味にあり
横山 信之
〇感謝する
シルバーシートの思いやり
◇風邪気味か急場しのぎの市販薬
岡田 秀雄
〇思いやりの始末に困る贈答品
◇本屋減り薬局増えた田舎町
丸木 正登
〇思いやる心持ちたい常日頃
◇クスリより歩いて元気安上がり
荒井 春雄
(手塚 記)
◎12月の互選句
12月の題「料理」
物価高ワンコインでは昼食えず
長谷川正榮
朝刊のチラシで決まる晩御飯
手塚 実
見て楽し食して旨い日本食
岡田 秀雄
冷蔵庫中身一掃鍋料理
横山 信之
換気扇さてはお隣りカレーだな
竹田 圭子
物価高遠のく足のレストラン
荒井 春雄
無理無駄と云って手料理しない女
丸木 正登
(手塚 記)
◎11月の互選句
11月の題「歩く」
牛蒡抜きしたのは昔今譲る
長谷川政榮
定時発バスに振られた老の足
丸木 正登
回り道寄り道好きな足と生き
手塚 実
大股で歩いて防ぐ認知症
竹田 圭子
歩行者に道をあけろと凄むベル
横山 信之
年寄りは出歩くことで健康に
岡田 秀雄
気持だけ早く歩いているつもり
荒井 春雄
(手塚 記)
◎10月の互選句
10月の題「目」
目の前にある幸せに気付けない
手塚 実
終活へ抗議目障り本の山
長谷川政榮
老の目でスマホに挑む悲壮感
丸木 正登
札束にオリンピックも目が眩む
岡田 秀雄
若作り健康そうも見た目だけ
横山 信之
病み上がり活字恋しく目が弾む
竹田 圭子
昔から目上目下の礼があり
荒井 春雄
(手塚 記)
◎9月の互選句
9月の題「空」
戦争も平和も同じ空の下
手塚 実
甲子園空にひびいた青春譜
丸木 正登
友が逝き空欄増える住所録
横山 信之
渡り鳥阿吽の呼吸列なして
竹田 圭子
空耳か呼ばれた気がして返事する
岡田 秀雄
テレビ目が夏の夜空に癒される
荒井 春雄
TVの長岡花火夏夜空
長谷川政榮
(手塚 記)
◎7月・8月の互選句
7月の題「涙」(〇印)
8月の題「見つめる」(◇印)
○涙した分だけ強くなれました
◇見つめれば綺麗な月に痘痕あり
長谷川政榮
○冠婚葬祭老いの涙は忙しい
◇見つめれば涙の跡も置手紙
丸木 正登
○よく笑いいっぱい泣いて子は育つ
◇マスク顔確信持てず見つめ合う
手塚 実
○リハビリの涙の先にある希望
◇知り合いか
じっと見つめるマスク越し
横山 信之
○事故現場見知らぬ人も花たむけ
◇捨て猫の目線が痛いうしろ髪
竹田 圭子
○仲間逝く天も悲しむ涙雨
◇見つめれば犬や猫とも意思疎通
岡田 秀雄
○究極の嬉し悲しは目に涙
◇老の目は何かといえば虫眼鏡
荒井 春雄
(手塚 記)
◎6月の互選句
6月の題は「忘」
伝言を言い忘れてた長電話
横山 信之
電車から降りて気が付く忘れ物
岡田 秀雄
忘れもの何かが思い出せません
長谷川政榮
名を忘れ五十音追い思い出す
手塚 実
水やりを忘れて花に叱られる
竹田 圭子
飲み会の期日忘れて叱られる
丸木 正登
忘れじの小6校庭罰一人
荒井 春雄
(手塚 記)
◎5月の互選句
5月の題は「仲間」
立飲みも乾杯すればもう仲間
長谷川政榮
病院の待合室はみな仲間
手塚 実
接戦を制し仲間と称え合う
竹田 圭子
昔話肴に飲んだ仲間内
丸木 正登
好き好きな
趣味に合わせて仲間でき
荒井 春雄
支え合い学生仲間永い友
岡田 秀雄
飲み仲間日時場所案即決まる
横山 信之
(手塚 記)
◎4月の互選句
4月の題は「手」
押す人の手が温かい車椅子
手塚 実
手つかずの明日へ期待をして眠る
竹田 圭子
蕩々と語る内容手前みそ
岡田 秀雄
核戦争先手必勝おぞましい
丸木 正登
丹田に両手を組めば直ぐ寝入る
長谷川政榮
趣味ならば手間暇かける朝から夕
荒井 春雄
(手塚 記)
◎3月の互選句
3月の題は「時」
還暦が時代を担う過疎の町
手塚 実
のど自慢昨日見たよなはや日曜
荒井 春雄
恩を受けいつか返すと時は過ぎ
横山 信之
数時間経つとおにぎりゴミにされ
竹田 圭子
時差ボケで悩んだ昔なつかしい
丸木 正登
真実は歴史が語る時を待て
岡田 秀雄
昨日今日明日が来ると生きている
長谷川政榮
(手塚 記)
◎1月・2月の互選句
1月の題は「湯」(〇印)
2月の題は「川」(◇印)
○湯豆腐にほっこりとして燗の酒
◇川の字で育児の昭和懐かしむ
長谷川政榮
○柚子の香に年の瀬を知る冬至風呂
◇枝先で川面遊びをする柳
手塚 実
○さっぱりと湯舟で流す今日の愚痴
◇歳とれば顔の川筋深くなり
横山 信之
○長寿の湯ならば長湯もしたくなり
◇芭蕉の句流れていそう最上川
竹田 圭子
○いい湯だな混浴ならばもっと良い
◇笹舟を川の流れにそっと乗せ
丸木 正登
○湯たんぽを抱きしめ暖を取った夜
北濃 祥二
○風呂場から
機械が告げる湯が沸いた
◇孫と共子供に返る川遊び
岡田 秀雄
○老いと共風呂は熱めの湯につかる
◇川は流れ時は流れず積もりゆく
荒井 春雄
(手塚 記)
◎11月・12月の互選句
11月の題は「酒」(〇印)
12月の題は「命」(◇印)
〇独り酒天国の友呼び出して
◇命消え年賀欠礼おんな文字
長谷川政榮
〇献杯を乾杯にして叱られる
◇楽しもう余命短し美酒佳肴
丸木 正登
〇下戸だけどいつも皆の人気者
◇泣き顔も笑顔も命あればこそ
手塚 実
〇解除後は酒にどっぷり漬かりたい
◇風前の命見守りしとやかに
北濃 祥二
〇高級酒空瓶捨てず麦茶入れ
◇読めませんキラキラ命名新生児
横山 信之
〇横町でおいでおいでと縄のれん
◇枯れ枝と思っていたら花がつき
竹田 圭子
〇酒すするビールは喉へ流し込む
◇授かった尊き命全うす
荒井 春雄
◇命がけ守ってくれた父母の愛
岡田 秀雄
(手塚 記)
◎10月の互選句
10月の題は「駅」
駅弁に盛った郷土の味自慢
手塚 実>
受験生見送り駅で母祈る
竹田 圭子
駅弁は窓開け買って楽しんだ
北濃 祥二
江戸っ子が東京駅で迷ってる
丸木 正登
古めかしい停車場と言う懐かしさ
荒井 春雄
トンボ連れ小さな駅へ里帰り
長谷川政榮
山手線駅名書いてボケ防止
横山 信之
(手塚 記)
◎9月の互選句
9月の題は「旗」
どちらへも靡かぬ旗を振り続け
長谷川政榮
観光の旗振り役は富士、桜
竹田 圭子
旗を振る勇気がいつか委員長
手塚 実
損無くば白旗上げる処世術
横山 信之
日の丸はスポーツ行事専用だ
丸木 正登
五輪旗と日の丸並び感無量
北濃 祥二
日の丸の日本の国旗世界一
荒井 春雄
(手塚 記)
◎7・8月の互選句
7月の題は「人生」(〇印)
8月の題は「希望」(◇印)
○自己にムチ
負けるものかと今がある
◇青春の時代の希望今いずこ
荒井 春雄
○我慢した人生だなと歯が語る
◇希望とは希な望みと書いている
手塚 実
○人生の地図に迷路が多すぎる
◇選手らの悲願真紅の優勝
竹田 圭子
○人生は照る日曇る日おりまぜて
◇ワクチンに希望を託す高齢者
北濃 祥二
○聞き流すゆとり人生楽になり
◇志望校重く切れそう絵馬の紐
横山 信之
○人生がおもろいだから川柳だ
◇希望校落ちて発起し今がある
長谷川政榮
○妻逝きて我が人生に悔い残る
◇大いなる希望失望これ人生
丸木 正登
○偶然の出会い人生導かれ
◇邪魔者は希望退職迫られる
岡田 秀雄
(手塚 記)
◎6月の互選句
6月の題は「マスク」
マスクして心の中を覗かせぬ
手塚 実
車内でもマスクのおかげ減る化粧
横山 信之
マスクして免罪符だと闊歩する
長谷川政榮
マスクごし春を知らせる沈丁花
竹田 圭子
マスク顔老いを隠して若返る
岡田 秀雄
みな美人女が掛けるマスク顔
荒井 春雄
手作りのマスクを彼にプレゼント
丸木 正登
いつの日かマスクよさらば大空へ
北濃 祥二
(手塚 記)
◎5月の互選句
5月の題は「おまけ」
おまけ買う原風景にあるグリコ
手塚 実
人生のおまけを今は生きている
北濃 祥二
定年後おまけの人生丸儲け
荒井 春雄
渋滞が都会の夜景プレゼント
竹田 圭子
老い耄れて
おまけのように生きている
長谷川政榮
景品の魅力に負けて無駄遣い
横山 信之
お花見にコロナがおまけに付いて来る
丸木 正登
景品に釣られて買った粗悪品
岡田 秀雄
(手塚 記)
◎4月の互選句
4月の題は「花」
コロナでも季節忘れず花は咲く
岡田 秀雄
咲く花でコースを変える散歩道
竹田 圭子
ミサイルを花火のように上げる国
手塚 実
若者に花を持たせて老いは引く
荒井 春雄
家族会議行くか自粛か花便り
横山 信之
ご法度だ一都三県お花見は
丸木 正登
闇夜でも心の中で花は咲く
北濃 祥二
花の宴出来ず都知事の腹の虫
長谷川政榮
(手塚 記)
◎3月の互選句
3月の題は「感染者」
感染に窓越し見舞いもどかしさ
横山 信之
守護霊も守れなかった感染者
手塚 実
五輪には世界中から感染者
北濃 祥二
いつどこで判らぬままの感染者
荒井 春雄
感染者責めない街の歌舞伎町
竹田 圭子
特養に感染者増え補助が増え
長谷川政榮
現代の村八分だよ感染者
丸木 正登
日々増える自宅待機の感染者
岡田 秀雄
(手塚 記)
◎2月の互選句
2月の題は「儲け」
ガラクタに思いもよらぬ付く高値
手塚 実
金持ちが儲ける時勢の金余り
荒井 春雄
コロナ禍で出前に変えて大儲け
長谷川政榮
儲けなど
要らないなんてタテマエよ
北濃 祥二
儲け物旅路で逢えた蜃気楼
竹田 圭子
コロナでも頭使えばボロ儲け
岡田 秀雄
今は昔儲かりまっかのご挨拶
丸木 正登
大儲け使いたくても入院中
横山 信之
(手塚 記)
◎1月の互選句
1月の題は「流」
ハイハイと聞き流すのも処世術
手塚 実
中流と思っていたが今下流
荒井 春雄
クラス会月日の流れまの当たり
竹田 圭子
絶唱は川の流れとがなり声
北濃 祥二
流れ星願いかなわず消えていた
岡田 秀雄
コロナ禍で米寿の祝いお流れだ
丸木 正登
ボク表妻裏で娘は江戸千家
長谷川政榮
改革が判子文化を押し流す
横山 信之
(手塚 記)
◎12月の互選句
12月の題は「進路」
この道を来たから会えた人ばかり
手塚 実
我が進路コロナさえぎり霧の中
北濃 祥二
進学も進路を拒むコロナ菌
荒井 春雄
将来の進路に迷い引き籠り
岡田 秀雄
台風がジグザグ浮気迷走だ
長谷川政榮
寡婦となり
派手に生きると進路変え
横山 信之
あがいても三途の川が待っている
丸木 正登
飄々と生きて進路は風次第
竹田 圭子
(手塚 記)
◎11月の互選句
11月の題は「不安定」
祈るだけ活断層の上に生き
手塚 実
うっかりと布団干せない空模様
丸木 正登
大国も自粛守らず不安定
横山 信之
コロナ禍が招いた生活不安定
岡田 秀雄
妻と我心身共に不安定
北濃 祥二
不安定な気持ちを静め日々生きる
荒井 春雄
快復へ心が焦り夜が長い
竹田 圭子
施設では外出禁止ウツになる
長谷川政榮
(手塚 記)
◎9月・10月の互選句
9月の題は「予感」(〇印)
10月の題は「意地」(◇印)
○退院の予感うれしい八分粥
◇老木の幹さえ芽吹く意地がある
手塚 実
○見舞客急に多くて嫌な予感
◇意地を捨て
違う世界が見えて来た
横山 信之
○何故だろう悪い予感は良く当る
◇意地っ張り自ら幸せ遠ざける
岡田 秀雄
○いい予感
勝ち馬見分け乗り換える
◇転んでも
ただでは起きぬ意地はある
竹田 圭子
○天気予報予感にあらず科学なり
◇意地張らぬ妻は観音様に見え
荒井 春雄
○人生の予感当らず老ホーム
◇地獄まで
持ち続けたい意地がある
北濃 祥二
○年内にコロナワクチン出来るかも
◇礼服に数珠を忘れぬ老の意地
丸木 正登
○勝つ予感
赤いネクタイ締めて行く
◇薪くべて
ご飯を炊いたボクの意地
長谷川政榮
(手塚 記)
◎8月の互選句
8月の題は「三密」
三密に無縁な田舎満喫す
手塚 実
三密で大手を振って義理を欠き
丸木 正登
三密で帰省出来ずに長電話
横山 信之
その秘密三途の川の向こうまで
長谷川政榮
訪問の介護密着避けられず
竹田 圭子
密着が怖くて痴漢も近づかず
岡田 秀雄
三密があって優しい子が育つ
荒井 春雄
マージャンは
言わずと知れた三密だ
北濃 祥二
(手塚 記)
◎6月・7月の互選句
6月の題は「笑」(〇印)
7月の題は「客」(◇印)
〇今ならば笑い話の失敗談
◇戸惑いは観客無しのスポーツ界
岡田 秀雄
〇無礼講笑い上戸に泣き上戸
◇不安だねマスク不足の接客業
丸木 正登
〇失敗を笑い話にするゆとり
◇いらっしゃい
さっと出てくるコップ酒
竹田 圭子
〇老夫婦古恋文に苦笑い
◇ひやかしと
分かっていても客は客
手塚 実
〇日本から笑い消えさすコロナ菌
◇老ホーム
客の出入りが途絶えてる
北濃 祥二
〇幼子のほほ笑み貰い咲く心
◇観客が居らぬも真剣相撲取り
荒井 春雄
〇クスクスの笑いがいつか爆発へ
◇マスクして疎らに座る終電車
長谷川政榮
〇テレ笑い色々あったが今は無い
◇客船が病院船となる不運
横山 信之
(手塚 記)
◎5月の互選句
5月の題は「マスク」
遠い耳マスクの声は尚聞けず
荒井 春雄
お互いに疑心暗鬼でマスク掛け
岡田 秀雄
安倍マスク郵便会社救うだけ
北濃 祥二
配布数人数不問一家二個
竹田 圭子
マスクする君の素顔がかくれんぼ
手塚 実
十万もアベノマスクも待ちぼうけ
長谷川政榮
マスクして様になる人ならぬ人
丸木 正登
国会は証拠資料にマスク掛け
横山 信之
(手塚 記)
◎4月の互選句
4月の題は「互角」
出張に妻も夫もホッとする
手塚 実
同格の真剣勝負傷だらけ
竹田 圭子
湧き上がる互角の勝負大相撲
荒井 春雄
双生児互角の力を備え持つ
岡田 秀雄
新人に互角に使う飴とムチ
横山 信之
楽しみは孫と互角のヘボ将棋
丸木 正登
早慶の互角の戦謳い合う
長谷川政榮
米中は互角と云ってにらみあい
北濃 祥二
(手塚 記)
◎3月の互選句
3月の題は「熱燗」
熱燗が五臓六腑へごあいさつ
手塚 実
熱燗を避けてぬる燗酒の味
荒井 春雄
熱燗より人肌恋し独り酒
丸木 正登
屋台では熱燗片手に愚痴こぼす
岡田 秀雄
寒い夜テレビが友の熱燗ね
北濃 祥二
熱燗が沁みるふるさと雪だろか
竹田 圭子
喜怒哀楽勝る熱燗安いもの
横山 信之
あっちっち耳をつまんで酌をする
長谷川政榮
(手塚 記)
◎2月の互選句
2月の題は「高い」
悪妻も高嶺の花と言われてた
横山 信之
大男ドアにお辞儀をさせられる
竹田 圭子
ひいき目の高嶺の花も姥桜
荒井 春雄
震度三高層ビルは五ほど揺れ
手塚 実
高値でも無農薬なら買っていく
北濃 祥二
初任給だけが高くて騙される
志満 武
高齢化百を超えても死ねないか
長谷川政榮
日用品気付かぬ内に高くなる
岡田 秀雄
高いもの被災地に残るゴミの山
丸木 正登
(手塚 記)
◎1月の互選句
1月の題は「四苦八苦」
トラストミー口滑らして四苦八苦
手塚 実
四苦八苦息切らしつつ九合目
荒井 春雄
先立たれ掃除洗濯四苦八苦
丸木 正登
答弁につじつま合わず四苦八苦
岡田 秀雄
四苦八苦で
出来た一句がいとおしい
長谷川政榮
くもの糸四苦八苦してけ落すよ
北濃 祥二
菓子折りをもらい責任負わされる
竹田 圭子
名文家原稿に見る四苦八苦
志満 武
乗りたいが四苦八苦の券売機
横山 信之
(手塚 記)
◎12月の互選句
12月の題は「思」
明日がまた楽しい日だと思い寝る
長谷川政榮
置いたとこ
思い出せずにさがしもの
荒井 春雄
親は子を子は親思いすれ違う
志満 武
思い出を語る二人の笑いじわ
手塚 実
被災地に思い出つまる家財ゴミ
横山 信之
子を思う親の過保護が仇になり
丸木 正登
出歩けば思わぬ出合い待っている
岡田 秀雄
思いやり有る友先を言わせない
竹田 圭子
両陛下手を振りながら何思う
北濃 祥二
(手塚 記)
◎10月・11月の互選句
10月の題は「付録」(〇印)
11月の題は「苦痛」(◇印)
〇妻の後付録のようにカート押す
◇リハビリの
いばらの先にある希望
手塚 実
〇人生の付録の如き定年後
◇靴づれの苦痛に耐えて立つ山頂
荒井 春雄
〇週末の新聞付録読み切れず
◇就活で
無理してはいたハイヒール
丸木 正登
〇駄菓子屋で付録楽しむ子供達
◇出産の苦痛は希望の第一歩
岡田 秀雄
〇本体より付録にはまる少年期
◇DVが妻の連れ子に死の苦痛
長谷川政榮
〇本誌より付録にひかれ買う雑誌
◇ミス会社
新入り美女に気が揉める
竹田 圭子
〇ヤモメさんアトの人生付録かな
◇昇格の間際になって待たされる
北濃 祥二
〇付録にと貰った方に値が付いた
◇子の苦痛代わりたいのが親心
志満 武
〇大根を高値サンマに付録付け
◇楽しくも苦痛も分かつ酒の友
横山 信之
(手塚 記)
◎9月の互選句
9月の題は「神」
神様も喧嘩神輿で憂さ晴らし
手塚 実
必然は神のみぞ知るケセラセラ
荒井 春雄
結局は困ったときの神頼み
丸木 正登
神風が吹くと信じた戦時中
岡田 秀雄
神を下りソフト帽振る昭和帝
長谷川政榮
十字架を仰ぎ見上げて我信ず
北濃 祥二
殊の外貧乏神はウチが好き
竹田 圭子
正直の頭は今も神の宿
志満 武
神様に読んで欲しいと誤字の絵馬
横山 信之
(手塚 記)
◎8月の互選句
8月の題は「面」
面倒見よくて客間が集会所
手塚 実
面喰いと言われた彼にあの女房
丸木 正登
善人の面をかぶって初対面
竹田 圭子
面会の度に衰え行く患者
岡田 秀雄
死に神に面倒見ると言い出され
志満 武
鬼の面仏の面も母の顔
横山 信之
面前の手品のネタを見破れぬ
荒井 春雄
面談はチグハグばかり緊張で
北濃 祥二
三面鏡開いておんな武装する
長谷川政榮
(手塚 記)
◎7月の互選句
7月の題は「傷」
大空に傷をつけてる流れ星
手塚 実
廃屋の柱にのこる傷のあと
丸木 正登
傷心を癒す地酒が胸に滲み
竹田 圭子
擦り傷が絶えぬ子供の膝小僧
岡田 秀雄
特売品キズはなくてもワケがある
志満 武
失恋の傷をいやすは次の恋
横山 信之
いま昔
ちょっとの傷はみなアカチン
荒井 春雄
傷ついた子供の気持どういやす
北濃 祥二
深い傷負った昭和の成長期
長谷川政榮
(手塚 記)
◎6月の互選句
題「無駄」の佳句は次のとおり。
無駄金と思うが払う滑り止め
手塚 実
外交が外遊になる無駄づかい
横山 信之
押し入れと納戸に無駄が眠ってる
丸木 正登
無駄メシ食い
飼って組織が円くなる
長谷川政榮
うかつにも無駄足踏んだ定休日
岡田 秀雄
空腹で買物をして無駄を買い
竹田 圭子
化粧品どう使ってもその顔じゃ
志満 武
高齢の人生無駄とは云えないぞ
北濃 祥二
無駄しない
もったいないがゴミの山
荒井 春雄
(手塚 記)
◎4月・5月の互選句
4月の題は「座」 (○印)
5月の題は「丼」 (◇印)
○老人が立ち老人を座らせる
◇親子丼愛がたっぷり詰まってる
手塚 実
○添乗員座席確保に汗を掻く
◇鰻重もメニュー眺めて丼に
岡田 秀雄
○車座が仲間意識をかき立てる
◇平和って例えば今日のうなぎ丼
竹田 圭子
○座れるよ遠い美人に席譲る
◇牛肉は牛丼以外御縁なし
志満 武
○妻の座にポツンと猫が座ってる
◇若き日のグルメカツ丼親子丼
丸木 正登
○居酒屋でずらす座布団タバコ跡
◇理由つけ今日も又かと手抜どん
横山 信之
○弁解に当座しのぎの嘘をつき
村上 恵子
○主夫の座が
主婦の座になる定年後
◇丼ブリが三つ並んで妻帰る
長谷川政榮
○星座なら記憶に残る北斗星
◇カツ丼で
なおみテニスのチャンピオン
荒井 春雄
○社長の座坐ってみたが笑顔でず
◇吉野屋の牛丼肉はどこの国
北濃 祥二
(手塚 記)
◎3月の互選句
題「温」の佳句は次のとおり。
苦労人掛ける言葉が温かい
志満 武
岩清水流れに指の温度計
手塚 実
骨壺にほのかに残る温かさ
丸木 正登
カードより釣の手渡し温み有り
横山 信之
ぬくい句を
添えて友から来たメール
竹田 恵子
社会では温室育ちで苦労する
岡田 秀雄
温暖化なぜか日本が寒過ぎる
長谷川政榮
懐は温かいけど友おらず
北濃 祥二
温暖化海水蒸発集中豪雨
荒井 春雄
一日に四季があるよな気温の差
村上 恵子
(手塚 記)
◎2月の互選句
題「望み」の佳句は次のとおり。
ポックリ死望みかなわず介護漬け
志満 武
願望がかない両目で見るダルマ
手塚 実
子の肩へ親の望みがのしかかり
竹田 圭子
ハネムーン夢と希望が空を飛ぶ
岡田 秀雄
リハビリで望み捨てずに返り咲き
村上 恵子
お受験で親の望みが重すぎる
丸木 正登
美人より優しい心望む歳
横山 信之
初日記「元気で百」と決意書く
長谷川政榮
ITを埋めて長生き二百歳
荒井 春雄
(手塚 記)
◎1月の互選句
題「知恵」の佳句は次のとおり。
どうしてと
不思議がる子に知恵がつき
手塚 実
悪知恵がついてジジババためす孫
荒井 春雄
収穫の秋はカラスと知恵比べ
丸木 正登
悪知恵に勝る知恵など浮かばない
北濃 祥二
老若の知恵を出し合い町起こし
村上 恵子
無能だが悪知恵だけは良く回る
岡田 秀雄
知恵袋賞味期限が書いてある
志満 武
言い訳をもう口にする三歳児
竹田 圭子
欠点を個性と言わす親の知恵
横山 信之
ガラケーを
スマホに替えて知恵くらべ
長谷川政榮
(手塚 記)
◎12月の互選句
題「スマホ」の佳句は次のとおり。
スマホ買いかわいい孫を師と仰ぐ
手塚 実
名ガイドケータイ・スマホ旅の友
荒井 春雄
スマホ手に世界を闊歩ツーリスト
丸木 正登
道聞けばスマホ取り出しご親切
村上 恵子
生活が全てスマホに握られる
岡田 英雄
万歩計時計代わりのスマホです
長谷川政榮
ガラケーで頑張ってるよ今もなお
北濃 祥二
写メールが遠い母との距離ちぢめ
竹田 恵子
年寄りにスマホの文字は小さ過ぎ
志満 武
高性能電池切れては役立たず
横山 信之
(手塚 記)
◎11月の互選句
題「痛」の佳句は次のとおり。
げんこつの痛み忘れぬ戦中派
丸木 正登
痛む歯が
あるだけいいと義歯の祖母
手塚 実
震災はわれの痛みとボランティア
荒井 春雄
欲しいのは心の痛さ癒す酒
横山 信之
追求は痛い所を突いてくる
岡田 秀雄
痛い目にあって目覚めた注意力
村上 恵子
痛い程分かる次点の残念さ
志満 武
八月の空に痛みが詰めてある
長谷川政榮
好奇心強さに痛いとこ忘れ
竹田 圭子
股関節痛くてたまらぬ歩けない
北濃 祥二
(手塚 記)
◎10月の互選句
題「命」の佳句は次のとおり。
晩酌は命の水と欠かせない
手塚 実
傘寿過ぎ命短し恥多し
丸木 正登
ジジ逝くやひ孫誕生命継ぐ
長谷川政榮
非日常命洗濯旅の良さ
村上 恵子
大病のあとの余命をいとおしむ
竹田 圭子
命綱付けても震え止まらない
岡田 秀雄
いただきます命の糧の食事前
荒井 春雄
健保では命の値段一割よ
北濃 祥二
牛殺し命いただく牛丼で
志満 武
みれん有り延命願い神頼み
横山 信之
(手塚 記)
◎8月・9月の互選句
8月の題は「やる気」(○印)
9月の題は「眠る」(◇印)
○満点を取るぞとやる気一夜漬け
◇地の底で眠れるマグマ時を待つ
手塚 実
○やる気出せそれが口癖パパとママ
◇改憲で眠り覚ますか愛国心
丸木 正登
○猛暑日に
やる気も失せてクーラーオン
◇安眠を求めて枕五つ六つ
荒井 春雄
○逸材が入り古参を奮起させ
竹田 圭子
○家の中やる気はあるが片付かぬ
◇乳吸わせ赤子眠らす母子の愛
岡田 秀雄
○やる気出す応援団の笛太鼓
◇日の目見る
眠る和服でアロハシャツ
横山 信之
○子のやる気巧く操る飴と鞭
◇発掘で眠る歴史を呼び起こす
村上 恵子
○お膳立て整いすぎてやる気失せ
◇話し下手眠らせるのは得意です
志満 武
○やって見せ
やらせて誉めてやる気出す
◇爆睡のあとはスッキリだから呑む
長谷川政榮
○暑い中
やる気たっぷりボランティア
◇蒸し暑い夜は眠れずまず一杯
北濃 祥二
(手塚 記)
◎7月の互選句
題「足」の佳句は次のとおり。
ダイコンもゴボウも吐息する足湯
手塚 実
免許証返納あとは足二本
長谷川政榮
軸足を変えると見える別世界
竹田 圭子
いつの間に追い越した足
おいこされ
荒井 春雄
逃げ足が早い奴ほど空気読む
北濃 祥二
夜更けても父の足音犬が知る
横山 信之
飲み会でいつも足出す迷幹事
丸木 正登
足入れの風習矢張り理に叶う
岡田 秀雄
免許証返納したら幽霊に
志満 武
腹八分足りず結局おやつ食べ
村上 恵子
(手塚 記)