関東支部から 加藤亜紀さんの 夜桜能 が掲載されました

東京都の桜開花の標本木が靖國神社にあることは、皆さんよくご存知だと思いますが、その標本木のすぐそばに、都内最古の能楽堂があることはご存知でしょうか?
周囲には桜の木が多く、30年前から毎年4月初旬に「夜桜能」と題した薪能が3日間開催されています。満開の桜の下のお能は、それはそれは美しく幻想的。毎年大人気で3千人を超える観客を集め、今や能楽界最大のイベントです。
 私は3年前、友達に誘われ、夜桜能を観て大感激! その時座席に、主催者である宝生流シテ方能楽師、田崎先生の能楽体験会のチラシ置かれていて、すぐに申し込み、それがまた楽しくて、お稽古を始めました。夜桜能が私をお能の世界へ導いてくれたのです。
 昨年はコロナのため、夜桜能は中止になりましたが、10月にはここで発表会があり、私自身が憧れの舞台に立つことができました。自分が能舞台で舞う、なんて以前は想像もできませんでしたが、上手い下手ではなく、ただお稽古しているだけではわからなかった、新しい世界が開けた気がします。
 今年の4月には、万全の感染対策をした上で、夜桜能は3日間無事開催されました。このコロナ禍で、大きな能楽の行事ができたことは、本当に特筆に値することだと思います。夜桜能がこれからもずっと続いて、一人でも多くの人々にこの素晴らしい能楽体験をしていただけたら、と願います。