この教室は年に1回、5日間のみ開かれます。中学生・高校生などの若い世代を中心に、多くの人が能楽に親しんでもらおうという目的です。当倶楽部としては新たな取り組みでしたが、当初40名募集のところ、実に60名の申し込みがあり、6月24日当日も梅雨の本降りの中、全員が参加しました。私達の他にも中学生の団体が数校来場していて、客席はほぼ満席の盛況でした。
 始めは能楽師による「能楽の楽しみ」のお話です。3人の中学生に舞台上で所作・謡・すり足の実技をしてもらうなど、わかりやすく和やかな講義でした。
 そして本番に入り、まず人間味溢れる山賊を描いた狂言「文山立」(大蔵流)の上演。続いて、能「船弁慶」(観世流)です。地謡・笛・小鼓・大鼓・太鼓をバックに、静御前・平知盛の怨霊(シテ=主役)、弁慶(ワキ)、義経(ツレ)が粛々と演じられ、特に静御前と知盛の衣装と舞は圧巻でした。基礎知識や見どころのマンガ解説があるプログラムや、今年から導入された座席字幕に助けられ、十分楽しむことができました。
 終演後、能楽堂内の食事処でお弁当をいただき、散会しました。
 皆様方の伝統芸能に対する熱意と、当倶楽部初めての試み、能楽鑑賞教室へのご協力に感謝します。
          (髙井 記)